アブストラクト(37巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁狭窄症治療における経皮的経静脈的僧帽弁交連裂開術(PTMC)の役割
Subtitle : 原著
Authors : 石原浩, 浜中喜晴, 川上恭司, 末田泰二郎, 金広啓一, 呑村孝之, 林載鳳, 松浦雄一郎
Authors(kana) :
Organization : 広島大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 10
Page : 2100-2104
Year/Month : 1989 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1987年4月~1988年10月までの僧帽弁狭窄症(MS)24例に対し, 経皮的経静脈的僧帽弁交連裂開術(PTMC)を13例に施行した. 同時期の直視下僧帽弁交連切開術(OMC)は6例・僧帽弁置換術(MVR)は5例であった. PTMCの適応は, 外科側としては, 1.非直視下交連裂開術(CMC)後再狭窄で患者がOMCを拒否, 2.早期胃癌合併, 3.重症甲状腺機能亢進症及び心臓悪液質合併, 4.大動脈弁狭窄症合併で且つ急性左心不全及び腎不全を併発, が各1例ずつであり, 他の9例はすべて内科医により決定されていた. PTMCにより, NYHAは術前II~IV度から術後I~III度に, 僧帽弁口面積(MVA)は1.09±0.39から2.05±~0.63cm2(p<0.001)に, 左房・左室拡張期平均圧較差(MVG)は10.85±4.06から4.00±2.20mmHg(p<0.001)へとそれぞれ改善した. 施行前後のMRについては, 前後を通じて不変であったもの7例, 新たな発生もしくは増強を4例にみたが, 逆に2例に減弱をみた. 有意の合併症は全くなかった. 以上より, 1)軽度のMSでは, PTMCの効果は大きいが, 高度病変例では姑息的効果を求めるにとどめるべきで, 過度に施行すれば高度のMRを発症する懸念が大きく根治的効果は関心術にゆだねるべきである. 2)MS外科治療にOMCとMVRが主として行われ, 適応を巡って両者間に討論の余地のある現在, PTMCの登場・普及によりMS治療の適応決定にあたりかなりの変化を生ずると予想される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁狭窄症, 経皮的経静脈的僧帽弁交連裂開術
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