Abstract : |
術後造影により観察し得た内胸動脈グラフト(IMAG)の“やせ現象”につき検討した. やせ現象を呈したIMAGは120本中8本(6.7%)で, 男性6例女性2例, 平均年齢55.3歳(37歳~70歳)で, 高脂血症, 糖尿病, 高血圧などの頻度には特徴的な傾向はみられなかった. 吻合冠動脈枝は前下行枝6, 対角枝1, 回旋枝1で内径は1.5mm1例, 2.0mm7例であり, IMAG症例全体の傾向と差はなかった. 冠動脈狭窄度は100%1例, 90~99%1例に対して90%未満が6例と多く, 狭窄度が比較的軽度の症例に高率に発生した. 造影時期は2カ月以内5例, 6~12カ月3例と差はなく, sizableな心膜枝や, 肋間枝の残存を4例に認めた. 明らかな狭心症を示す症例はなく2例が負荷心電図にて軽度陽性を示したが, 全例生存中である. 以上よりIMAGのやせ現象発生には冠動脈側の抵抗が高い状態の関与が主因をなすと考えられた. 今後, これらやせたIMAGが冠動脈側の血流需要の増大に伴って内径を増加させうるのか, あるいは閉塞へと進行するのかは現時点では不明であり, 慎重な観察が必要である. |