Abstract : |
体外循環(CPB)後の“postperfusion syndrome”の解明のため, CPB患者の補体値(C4a, C3a, C5a)の動態を中心に1.酸素加機構別:気泡型肺(BO群), 膜型肺(MO群)2.充填同種血の多寡, 3.充填同種血内容:全血充填群, 新鮮濃厚赤血球(CRC)+アルブミン(Alb)充填群について比較検討した. C4aはBO群で漸増したが, MO群ではほぼ定常的であった. C3aはBO群でMO群以上の直線的増加を示した. C5aはMO群に比しBO群で高値傾向を示した. 充填同種血の多寡による影響は, MO群に比しBO群で特にC4aで大であった. また, チアノーゼ症例では膜型肺使用にもかかわらず上記補体値の著明な上昇を認めた. 充填同種血内容については, 特にBO群において, 全血充填群に対してCRC+Alb充填群では大量同種血充填を要する症例で低値傾向を認めた. サルを用いたa, O2bubbling処理血大動脈持続流入で, 著明なC4aの上昇とC3aの経時的上昇を認めた. b, ナイロン接触血注入ではC3aは上昇したが, C4aは定常的に推移し, c, O2気泡注入ではC4a, C3aは不変であった. また, in vitroにおいてO2bubblingによる変性immunoglobulin(Ig)は, C4a, C3a, C5aをほぼdose-dependentに上昇させたが, 同様に変性させたAlbでは不変であった. 以上の結果, 次のような結論を得た. 1)MO群での補体活性経路についてはalternative pathwayが優位であるが, BO群にはclassical pathwayの関与が大きい. 2)BO群での血中アナフィラトキシン高値はO2bubblingによる強い血液成分障害に起因すると思われ, Ig変性はその重要原因と考えられる. 3)充填同種血の多寡による影響もBO群に強い. また, 4)大量同種血充填を余儀なくされる症例ではCRC+Alb充填法は有用である. |