アブストラクト(37巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 3カ月未満を対象とした晶質性保護液による心筋保護効果の臨床的検討
Subtitle : 原著
Authors : 安藤文彦, 磯村正, 久富光一, 島田昇二郎, 平野顕夫, 小西浩, 青柳成明, 小須賀健一, 大石喜六, 藤堂景茂*
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第2外科, *聖マリア病院胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 10
Page : 2175-2180
Year/Month : 1989 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 新生児期, 乳児期早期における, 教室作製の晶質心筋保護液(以下Kurume solution I(S-I)とする)の心筋保護効果を検討した. 対象は, 3カ月未満の開心術症例21例で, 日齢47.1±26.4生日, 体重3.6±0.6kg, 体外循環時間151.3±53.4分, 大動脈遮断時間90.2±39.4分であった. 死亡率は, 術前よりショック状態やアシドーシスを呈していた2例を含めると28.6%(6例)で, そのうちの50%(3例)は, 長時間遮断下での現行心筋保護法の不完全さによるものと考えられた. 死亡例・生存例の比較検討では, 体外循環時間で死亡例196.7±50.1分, 生存例133.2±45.8分と, 大動脈遮断時間で120.0±45.8分に対し78.3±30.5分と有意差(p<0.01, 0.05)を認めた. また生存例における術後のカテコラミン使用量を見てみると, 有効カテコラミン補助(6μg/kg/min以上)を必要としたものは86.7%であり, 術後LOS(10μg/kg/min以上且つ48時間以上)を呈したものは33.3%であった. その関連因子をみてみると, やはり体外循環時間, 大動脈遮断時間に相関が認められ, LOSの検討から体外循環時間では150分までが, 大動脈遮断時間に関しては, S-Iの安全許容時間は90分までと考えられた. 今後, この領域での手術成績向上のためには, 未熟心筋の特異性を考慮した心筋保護液の導入と, 体外循環時間・大動脈遮断時間短縮のための, 手術手技を含めた開心術補助手段の工夫が必要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳児開心術, 術中心筋保護, 晶質性心筋保護液, Cardioplegia
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