Authors : |
有村利光*, 川井田孝*, 富加見章*, 丹羽清志, 西島浩雄, 下高原哲朗, 山王邦博, 三谷惟章, 馬場国昭, 島津久明 |
Abstract : |
中葉原発肺癌の予後向上を図る目的で治療成績を中心に臨床的検討を行った. 原発性肺癌切除症例は230例ある. そのうち中葉原発例は14例(6.1%)であった. この14例について検討を加えた. 男性13例, 女性1例. 平均年齢は57±7歳. 組織型は腺癌が10例, 扁平上皮癌が4例. stage別ではI期6例, II期2例, IIIA期3例, IIIB期3例. 扁平上皮癌は4例ともstageII期以上で, 2例は胸膜播種を認め絶対的非治癒切除に終わっている. 術後最長43カ月で4例とも癌死した. 5生例は腺癌に2例あり, 両者ともstageI期で絶対的治癒切除例であった. 切除肺癌230例全例の5生率は34.6%. 中葉原発14例の5生率は34.9%で, 他肺葉原発例と比べてその予後に差は全く認めなかった. ただ組織型に分けて検討すると, 腺癌切除例142例では中葉原発例の5生率は68.6%で統計学的には有意差を認めないものの, 他肺葉より予後は良好な傾向にあるのに対して, 扁平上皮癌切除例58例では中葉原発例は統計学的には有意差を認めないものの, 進行例が多いために4生例はなく, 他肺葉より予後不良であった. 特に進行例が多い扁平上皮癌例では, その予後向上のためには早期診断とより強力な補助療法が必要である. |