アブストラクト(37巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 慢性大動脈弁閉鎖不全症における弁置換術後の左室機能の推移-心エコー下術前後dobutamine負荷試験からの予測-
Subtitle : 原著
Authors : 神田裕史, 中村和夫
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 11
Page : 2281-2290
Year/Month : 1989 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 慢性大動脈弁閉鎖不全症(AR)の術後左室機能の改善程度を把握するため, 本症手術例21例の術前及び術後心エコー検査時にdobutamine(DOB)を負荷し, これに対する左室収縮力の反応性, 及びこれと術後左室機能との関係を検討した. 負荷に対する反応の指標として負荷前後のmVcfの変化量, すなわち△mVcfを用いた. 術前のDOB負荷試験で△mVcfが0.45以上の15例を反応良好群, 0.45未満の6例を反応不良群として両群を比較検討した. ARにおける心機能障害のturning pointと考えている%FS 27%以下, LVDs 50mm以上の領域にある症例にも反応良好例が存在し, %FS 27%以上, LVDs 50mm以下でも反応不良例が認められた. 術後早期における各指標の変化をみると, LVDsは不良群では良好群に比してその減少の程度は劣り, 有意に高値にとどまった. %FSは術後早期ではすべての反応良好群は28%以上となり, 不良群では28%以下となった. また術後早期の%FS及びmVcfは術前DOB負荷における△mVcfと強い正相関を示した. 術後1カ月後に施行したDOB負荷試験では△mVcfは術前△mVcfに比し有意に上昇し, 術前反応不良群に属した多くの症例が術後良好な反応を示した. 術後遠隔期の改善度をみると, ほとんどの症例で%FSは良好となったが, 術後負荷で△mVcfが低値をとった症例では遠隔期の%FSは依然低値に留まった. 術後DOB負荷における△mVcfと遠隔期%FSとの間には正相関が認められた. 以上の結果より, 術前及び術後DOB負荷試験はARの術後早期から遠隔期における左室機能の改善程度を知るうえで有力な指標となることが明らかとなった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁閉鎖不全症, 術後左室機能, ドブタミン負荷, Echocardiography
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