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犬摘出心肺灌流装置を用いて, GIK液, St.Thomas液, 酸素加St.Thomasの心筋保護効果を比較検討した. GIK群, St.Thomas群, 酸素加St.Thomas群それぞれ6頭づつの雑種成犬から心肺を摘出したのち, 灌流装置に接続し大動脈遮断前の心機能を測定した（平均大動脈圧70mmHg, 左房圧4mmHg）. 各群とも, 3時間の大動脈遮断（4℃に冷却）の後, 再灌流を行い60分後の%回復率を比較した. 心筋保護液の注入は, 初回20ml/kgとし30分毎に10ml/kgを追加し, その温度は4℃とした（但し, GIK群では最初にYoung液2ml/kgを注入）. 心機能として, 心拍数, 冠血流量, 大動脈血流量, LVSWを測定し, 同時に, 心電図をモニターしガラス電極を用いて心筋内pHも記録した. GIK群では再灌流後に, 4頭と高率に心室細動が出現し2頭に一過性の完全A-Vブロックを認めた. 心拍数, 大動脈血流量, 冠血流量, LVSWの%回復率は, それぞれGIK群：93.4±10.32%, 104.6±24.91%, 18.8±8.54%, 32.6±6.12%, St.Thomas群：81.4±6.50%, 125.9±15.23%, 35.4±9.91%, 56.3±12.90%, そして酸素加St.Thomas群：83.1±8.40%, 121.6±16.92%, 47.0±7.89%, 69.1±9.71%であり, St.Thomas群と酸素加St.Thomas群は有意にGIK群に比し良好な心機能の回復を認めた（p＜0.05, 分散分析, WSD法）. 遮断3時間後の心筋内pHは, GIK群：6.84±0.101, St.Thomas群：7.03±0.080, 酸素加St.Thomas群：7.23±0.239と酸素加St.Thomas群ではGIK群より明らかに心筋内pHが高く保たれ（p＜0.01）, 良好なエネルギー供給状態が維持されたと思われた. そこで, St.Thomas液あるいは酸素加St.Thomas液の方が, GIK液よりも優れた心筋保護効果を有していると考えられた. |
