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チアノーゼ性心疾患に対する上大静脈－肺動脈吻合術（Glenn手術）は近年, 適応が次第に狭められてきているが, 疾患によっては今なお有効な術式と考え, その遠隔成績の検討を行った. 昭和41年4月から昭和63年3月までに施行したGlenn手術41例のうち, 生存の得られた33例を対象とした. 男女比は23：10, 手術時年齢は1～26（平均6.9）歳, 観察期間は282.4 patient-year, 最長18年, 平均8.6年であった. 疾患の内訳は, 単心室症18例, 三尖弁閉鎖症9例, 肺動脈閉鎖症2例, 両大血管右室起始症, ファロー四徴症, エプスタイン奇形, 修正大血管転位症, 各1例であった. 遠隔死は単心室症6例, 三尖弁閉鎖症1例の計7例で, 10年, 15年の累積生存率は80%, 63%であった. 単心室症6例のうち共通房室弁逆流による心不全死が3例あった. 再手術は9例に, Glenn手術後平均10.8年で行った. 内訳は中心性大動脈－肺動脈短絡術4例, 右室流出路形成術2例, Fontan手術2例, 三尖弁置換術1例であった. Glenn手術10年後のreoperation free rateは77.8±9.8%であった. Glenn手術前後でヘモグロビンは19.3±2.2g/dlから15.3±1.9g/dlに低下した（p＜0.05）が, 術後漸増し術後10年でほぼ術前値に戻った. 10年以上経過した症例は15例あり, 遠隔期死亡の2例, 不明の1例を除く12例は運動制限を要しながらも全員就学, 就職していた. 以上より, Glenn手術は姑息手術として約10年間はその効果が期待でき, また長期生存も可能で, 重症チアノーゼ疾患には今後とも適応となり得る術式である. |
