Abstract : |
1986年12月までの13年間に14例16回の三尖弁置換術(TVR)を行った. 対象は先天性心臓病3例(Ebstein病2例, ECD1例), 後天性弁膜症11例(リウマチ性9例, 外傷性2例)で, TVRと同時にEbstein病ではHardy手術を, リウマチ性の9例では僧帽弁置換術(MVR)または弁形成術を6例に, MVR及び大動脈弁置換術を3例に行った. TVRに使用した人工弁はHancock弁(H-X)及びBjork-Shiley(B-S)弁各1個, Starr-Edwards(S-E)弁2個, SJM弁12個であった. 手術成績では2例(死亡率14.3%)を術後早期にLOSのため失った. 12例を3カ月から13年, 平均4年7カ月にわたり追跡した. 観察期間はH-X弁0.33patient-years(p-y), S-E弁4.6p-y, B-S弁8.7p-y及びSJM弁42.3p-yであった. この間3例(心不全2例, 他弁の感染性心内膜炎(PVE)1例)が死亡した(遠隔死亡率21.4%)が, 他の9例ではNYHA分類でI~II度に改善されており, 術前に比しCTRも術後では有意に縮小した. 人工弁合併症としては出血性合併症はなかったが, PVE, 血栓弁がそれぞれ1回発生し, 再弁置換及び再々弁置換を行った. TVRでは左心系に比しより高度の抗血栓性と弁機能が要求され, 人工弁の選択は重要である. SJM弁によるTVRでは人工弁に伴う血栓弁あるいはPVEなどの合併症もみられなかったことから, 今後もTVRの適応のあるものではSJM弁を用いていきたいと考えている. |