アブストラクト(37巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左前下行枝完全閉塞を伴う左冠動脈重症病変に対するA・Cバイパス術の効果-部分閉塞例との比較-
Subtitle : 原著
Authors : 長岡秀郎, 印南隆一, 吉田哲矢, 渡辺正純, 広岡一信, 佐藤眞明
Authors(kana) :
Organization : 土浦協同病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 12
Page : 2477-2482
Year/Month : 1989 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠動脈造影上順行性に造影されない完全閉塞左前下行枝(LAD)にA・Cバイパス術を行った15例及び部分閉塞(内径比75%以上狭窄)LAD症例24例を対象とし, これらのうち手術死2例, グラフト閉塞した1例及び心電図上前壁以外の部位に貫壁性梗塞巣を有した4例を除外したLAD完全閉塞13例をI群, LAD部分閉塞19例をII群, 更にI, II群それぞれ非梗塞例a(Ia 8, IIa 12例), 前壁梗塞例b(Ib 5, IIb 7例)のsubgroupとして比較検討した. 1.手術成績:手術近接期梗塞, 手術死はLAD完全閉塞群では皆無であったが, LAD部分閉塞群ではそれぞれ1及び2例認めた. グラフト血流量は完全閉塞群で平均80.7ml/min, 部分閉塞群で85.5ml/minであり, LADへのグラフト開存率はそれぞれ100%及び95.8%と両者間に有意差を認めなかった. 2.左室機能:左室駆出率, Mean Vcf及び左室前壁, 心尖部分収縮率はすべての群で術後有意増加を示したが, 後下壁部分収縮率はすべての群で有意増加をみなかった. 心係数, 左室収縮期・圧/容量比はIb群のみ有意増加を示さなかった. 3.自覚症状(NYHA分類)の改善度:I, II群共に術前IIIないしIV度から術後はIないしII度に改善された. 術後の狭心痛消失率も良好で両群間に有意差は認めなかった. 4.術後遠隔成績:術後10年の実測生存率はLAD完全閉塞群90.7%, LAD部分閉塞群90.8%と両群とも良好であった. 以上により完全閉塞LADへのA・Cバイパス術はLAD部分閉塞例とほぼ同様に術後左室収縮力の改善, 狭心痛の消失, 良好な生命予後をもたらすことが判明した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 完全閉塞左前下行枝, A・Cバイパス術, 左室機能, 遠隔期生命予後
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