アブストラクト(37巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工心肺使用患者におけるリムルス陽性物質の検討-第1報-
Subtitle : 原著
Authors : 富安重雄, 坂西信映, 天野純*, 角田幸雄, 鈴木章夫*
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学医学部ICU, *東京医科歯科大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 12
Page : 2489-2494
Year/Month : 1989 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 人工心肺(以下CPB)使用患者に, 明らかなエンドトキセミアを示唆する臨床症状が欠如しているにもかかわらず, リムルス陽性反応が術直後より2~3日連続的に出現することがしばしばみられる. この現象の機序は不明だが, CPB回路がその原因の一つと考えられる. そこで, CPBプライミング液, CPB作動中及び術後の血漿, 尿のリムルス反応をゲル化法にて経時的に測定すると共に, プライミング液, CPB使用中心肺内液の偽陽性反応テストを行った. また, CPB回路内の異物の有無を検索するため, CPB回路洗浄前及びリサイクリング中40μのフィルターを使用したプライミング液, 更に洗浄中4μのフィルターを使用し排液した洗浄液について, 電顕像を検討すると共に, コールターカウンターにて異物の数と大きさを測定した. リムルス反応はプライミング液, CPB中心肺内液及び帰室時の検体はほぼ全例で陽性反応を示し, 2~3病日後には陰性化した. 偽陽性反応テストは, すべて陰性でありエンドトキシンではなかった. 洗浄前プライミング液での電顕像からは, 50μ以上の異物が1ml当り約40個確認されたが, 洗浄中40μ又は4μのフィルターを使用することにより著明に減少した. 今回判明した, CPB回路由来と考えられる非エンドトキシンリムルス陽性物質と異物の本体については不明であるが, 従来報告されているCPBによる血清補体活性化, 凝固線溶活性化, 免疫変動, 顆粒球エラスターゼ上昇等に関与している可能性も考えられる. 今後, CPB回路の洗浄後のリムルス反応, 異物の変動と両者の関連性について, 検討する必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 人工心肺, リムルス陽性物質, 人工心肺回路内異物
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