アブストラクト(37巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 解離性大動脈瘤の診断における経食道超音波断層法の有用性と限界
Subtitle : 原著
Authors : 佐々木重幸, 松居喜郎, 合田俊宏, 佐久間まこと, 安田慶秀, 酒井圭輔, 田辺達三
Authors(kana) :
Organization : 北海道大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 12
Page : 2495-2501
Year/Month : 1989 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸部大血管疾患における新しい画像診断として, 最近経食道超音波断層法(以下TEE)が導入され特に解離性大動脈瘤の局在, 質的診断に大きく役立っている. 今回TEEの画像診断の有用性と限界について検討した. 対象症例は昭和62年5月から昭和63年8月までにTEEを施行した解離性大動脈瘤29例(DeBakeyI型4例, II型1例, IIIa型6例, IIIb型18例)である. 剥離内膜の存在については, 29例全例(100%)で確認された. 病型診断及び流入口の描出については29例中26例(89.7%)で可能であったが3例で不明であった. 真腔・偽腔の鑑別は全例(100%)で可能であった. なお, TEEのみで剥離内膜がみられ真性瘤から解離に診断変更した例が2例あった. カラードップラー法やパルスドップラー法による解析も有用で, 特にパルスドップラー法によるフローパターン解析で真腔・偽腔の血流状態に多くの情報が得られた. 他の画像診断法(MRI, CT等)と比較した場合, TEEの長所は, 下行大動脈の病変検出に特に優れていること(小交通口の検出, 真腔・偽腔の鑑別, 血栓化の判定)があげられ, IIIa, IIIbの診断に有用であった. 短所としては, 走査範囲が限局しているため, 弓部病変の描出が困難であること, IIIa型を除きre-entryは描出不能であることがあげられた.この他TEEの独特な利点として, 術中に施行可能であること, 緊急症例にも対応できることがあげられ, 比較的簡単な操作で胸部大動脈の動的情報が得られるTEEは, 解離性大動脈瘤の診断・治療を行う上で高い有用性を持つと考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 解離性大動脈瘤, 経食道超音波断層法, フローパターン解析, 超音波診断
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