アブストラクト(37巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 長時間大動脈遮断におけるaprotininの心筋保護効果
Subtitle : 原著
Authors : 印南隆一**, 鈴木章夫*
Authors(kana) :
Organization : *東京医科歯科大学胸部外科, **土浦協同病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 12
Page : 2520-2531
Year/Month : 1989 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 雑種成犬14頭に対し, 低体温体外循環下に, マグネシウム-リドカイン心停止液を用いた4時間大動脈遮断を施行したのち, 体外循環から離脱させた. I群8頭に, aprotinin 10,000KIU/kg, II群6頭に, 同 20,000KIU/kgを投与した. 再灌流1時間後に, 両群の血行動態, 血清ライソゾーム酵素, 血清心筋由来酵素, 心筋内ATP量, CP量, カルシウム量, 水分量及び心筋超微形態を比較し, aprotininの心筋保護効果を判定した. 結果:1. I群4頭(50%)に対し, II群8頭(100%)が, 再灌流1時間後まで生存した. 2. 収縮期動脈圧及び左室1回駆出仕事量は, II群において, 有意に高値を示した. 3. 血清NAG活性の上昇は, II群において, 有意に抑制されたが, 血清β-G活性の上昇には, 有意差を認めなかった. 4. 血清m-AST活性の上昇は, II群において, 有意に抑制されたが, 血清MB-CK活性の上昇には, 有意差を認めなかった. 5. 心筋内CP量は, II群において, 有意に高値を示したが, 心筋内ATP量, カルシウム量及び水分量には, 有意差を認めなかった. 6. 重度傷害を示すミトコンドリアの比率は, II群において, 有意に低値を示した. 以上の結果は, 実験的な4時間大動脈遮断において, aprotinin 20,000KIU/kg投与により, 良好な心筋保護が得られたことを示している. 同様に, 長時間大動脈遮断を要する開心術においても, aprotininの心筋保護効果を期待しうると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : aprotinin, 心筋保護, ライソゾーム
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