アブストラクト(37巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 食道亜全摘にて救命しえた特発性食道破裂の1例
Subtitle : 症例
Authors : 石川成美, 藤原明, 中川晴夫, 赤荻栄一*, 蘇原泰則*, 三井清文*
Authors(kana) :
Organization : 日立製作所水戸総合病院外科, *筑波大学臨床医学系外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 12
Page : 2538-2542
Year/Month : 1989 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 特発性食道破裂の救命率は, 昨今, 本疾患の啓発と中心静脈栄養をはじめとする栄養管理法の発達により改善しつつあるといわれる. しかしその予後に最も影響を与える早期診断率はいまだに低く, 診断に難渋した進行例では, その外科治療のため種々の工夫を要する. 本例は胸背部痛にて発症後, 正診と手術まで83時間が経過した. 入院直後より経口禁, 抗生剤投与, 翌日から両側胸腔ドレナージを施行していたが, 局所の炎症が著しく且つ膿胸を引き起こしていたため, 食道亜全摘・胸壁前食道胃吻合術を行い, 良好な結果を得ることができた. 全身状態が許せば, 完全な汚染源の除去ができる点から, 食道切除再建術は本症の根治的治療法として, 有用な手段と考えられた. 特発性食道破裂はまれな疾患ではあるが, 無処置で放置された場合48時間以内に89%が死亡する1)といわれる重篤な疾患である. 最近は本疾患の啓発と, 抗生剤や栄養管理法の進歩により死亡率は低下したが, 早期診断と外科的な処置を中心とした適切な治療法の選択が予後を左右する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 特発性食道破裂, 食道切除, 一期的根治術, 縦隔気腫
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