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症例は, 6カ月女児. 生後9日目に施行したdigital subtraction angiographyで, 肺静脈狭窄と肺高血圧症を伴った総肺静脈還流異常症の上心臓型（Darling Ia）と判明した. 生後10日目にposterior approachで共通肺静脈腔と左房を吻合し, 術後経過は良好であった. しかし術後早期より, 肺高血圧症の所見が進行し, 術後5カ月の心臓カテーテル検査で吻合部狭窄が認められ, 今回根治術後6カ月で再手術を施行し, EPTFE膜による拡大術で救命し得たので報告する. 総肺静脈還流異常症（total anomalous pulmonary venous retum, 以下TAPVR）は, 早期にうっ血性心不全となり, 死亡率の高い先天性心疾患である. 本症は新生児あるいは乳児期早期に診断し根治術を施行しなければならない場合も少なくない. また, 手術成績は, 手術術式, 補助手段, 術後管理の進歩により向上しているが, いまだ成績は一般に不良であり, 術後の肺静脈閉塞（pulmonary venous obstruction, 以下PVO）は重大な問題である. |
