アブストラクト(37巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 腕頭動脈起始異常による血管輪の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 吉津博, 志水正史, 羽鳥信郎, 奥田恵理哉, 瓜生田曜造, 田中勧
Authors(kana) :
Organization : 防衛医科大学校第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 12
Page : 2576-2579
Year/Month : 1989 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 血管輪の内ではまれな腕頭動脈起始異常による気管圧迫のため喘鳴を呈した症例に対し, 胸骨に固定する吊り上げ術を行い, 喘鳴の軽減を見た症例を経験したので診断方法及び手術方法について検討を加えた. 症例は9カ月の男子, 喘鳴を主訴として来院. 食道造影所見では異常な圧迫像がないため血管造影を行った. 血管造影より腕頭動脈は本来の起始部より左方から分枝し, そのため腕頭動脈は左総頸動脈と共通幹として大動脈より起始し, 気管前面を左から右へと横断する所見を得た. 気管支ファイバーにより, 腕頭動脈起始異常のためと思われる拍動性の圧迫を気管入口部より約3cmの気管前面に認め, 同部で気管は狭窄していた. 以上より腕頭動脈起始異常のためによる喘鳴と考え手術を行った. 胸骨正中切開により腕頭動脈を胸骨上縁に固定する吊り上げ術を行った. 術後経過は順調で喘鳴は軽減し, 術後1年喘鳴はほとんど消失した. 術後診断として血管造影及び気管支ファイバーは有用であり, 食道造影により確定診断がつかない場合, 本症のような症例も念頭に入れ, 上記方法を考慮する必要があると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 血管輪, 腕頭動脈起始異常, 胸骨への吊り上げ術
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