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開心術の前後及び急性心筋梗塞後のショックに対してIABPを実施した41例を対象とし, IABPの効果を腎機能の面から検討した. IABP開始後6～12時間以内に認められた改善効果から, 症例を以下の3群に分類した. I群（25例）：心・腎両機能が改善したもの, II群（4例）：心機能の改善よりもむしろ腎機能の回復が良好であったもの, III群（12例）：心・腎両機能の何れも改善しなかったものである. 腎機能の指標としてCcr, CH2Oの他, 尿中NAG, FEβ2Mなどを測定した. I群では, 心機能の改善と共に腎機能面でもCcr, CH2Oが6時間後に正常値に回復し尿中NAGも全体を通じ20U/l以面を呈した. この群では25例全例がIABPから離脱し得, 且つ長期に生存し得た. II群では, CIは1.8～2.0l/min/m2とやや低値にとどまったが, 腎機能はI群と対比して6時間の遅れはあるものの12時間後には改善された. 4例中2例がIABPから離脱し得, うち1例は長期に生存した. III群では12時間以降でむしろ増悪傾向を示し, IABPから離脱し得たものは12例中1例（8%）のみで長期生存例はなかった. IABP離脱後長期生存群26例（63%）とIABP中, 又はその離脱後に死亡した15例（37%）について腎機能の面から予後を検討したところ, IABP開始後12時間以内にCcr＞50ml/min/1.48m2, CH2O＜－0.55ml/min/1.48m2の範疇に入った症例は全例IABPから離脱し長期に生存し得た. また, IABP開始24時間以内に尿中NAGが20U/l以下で且つFEβ2Mが3%以下の範囲内の症例は予後良好であった. 以上の所見よりIABPは, 心原性ショック, LOSの血行動態の改善や腎機能の改善に有用な補助循環法であるが, IABP実施中の腎機能の推移から患者の予後を推定し得ることを知った. |
