Abstract : |
graft-versus-host disease(GVHD)を予防するための, 放射線1,500rad照射血輸血が, 開心術後早期の細胞性免疫反応にどのような影響を及ぼすかにつき検討した. 体外循環下開心術を施行した, 後天性心疾患14例を対象とした. 全例でリンパ球亜群解析を施行し, 5例においてはnatural killer(NK)活性を測定した. 14例中13例は, 照射血のみが使用され, GVHDは惹起しなかった. 残り1例は, 未照射新鮮血も使用され, GVHDが起こり死亡した. 照射血輸血のみの13例のリンパ球亜群解析では, 第2病日において, pan-Tリンパ球の著減を認めたが, 第8病日の値は術前値より高値となっていた. 特にTH/I数は第8病日で有意に高値であった. act-Tリンパ球心及びBリンパ総数は, 術後2週間, 有意の変動を示さなかった. NK細胞数とNK活性は, いずれも術後第2~4病日に最低となり, 術後2週間目でも術前値まで回復しなかった. 未照射新鮮血を輸血した1例のリンパ球亜群解析に於ても, 他の13例での変動と有意の差は認めなかった. しかし, act-Tリンパ球比が第8病日に高値を示した以外は, おしなべて低値であった. 以上より, 開心術時の照射血輸血後の細胞性免疫反応は, 従来の未照射血使用時と大差ないものと考えられた. GVHD予防のためには, 開心術時においても, 放射線照射後に新鮮血を使用した方が良いと考えられる. |