Abstract : |
1988年5月より8例にウシ内胸動脈グラフト(BIOFLOW(R))を用いた冠動脈バイパス手術を施行した. 本グラフトは乳牛より採取した内胸動脈分枝をdialdehydeで処理しethanolとpropylene oxideで減菌したもので, 8例すべてに内径3mmのものを使用した. 対象症例は男性4例, 女性4例, 年齢62歳~72歳, 平均66.9歳で, 2例が緊急手術, 6例が大伏在静脈使用不能あるいは極めて質不良のためにBIOFLOW(R)を内胸動脈や大伏在静脈と併用してバイパスを行った. 平均バイパス数は2.9(2~5)でBLOFLOW(R)を吻合した冠動脈は前下行枝2, 右冠動脈6で, その平均グラフト流量は72.5ml/min(52~120ml/min)であった. 1例が不整脈のため早期死したが生存7例すべてに狭心痛の消失を認めた. 5例に術後1~2カ月で造影を行った結果, BIOFLOW(R)5本のうち4本が開存し, これらには狭窄所見は認めなかった. 今後の長期的な観察が必要ではあるが, 緊急手術や他に適当なグラフトがない場合, 有用なグラフトとなり得るものと考える. |