Abstract : |
II型解離大動脈弁閉鎖不全を有し, 解離が右冠動脈口にまで及んでいたAnnuloaortic ectasiaに対し, Bentall手術に自家静脈を用いて右冠動脈とグラフト間にA-C bypass術を施行し良好な結果を得た. 症例は30歳の男性で, 心不全発症をみたので緊急手術を施行, AAEの他, II型解離は右冠動脈口まで波及していることが判明した. 大動脈を縦切開し口径25mmのDisc弁付きComposite graftを移植, 左冠動脈口をグラフト後面に直接吻合の後, グラフトと右冠動脈間へ自家大伏在静脈を用いてA-C bypass術を施行した. 本症例の術後経過は良好である. 今後も経過観察を要するが, Annuloaortic ectasiaに対し, 冠動脈口に解離が及び吻合手技が困難なときは, Bentall手術に自家静脈を用いたグラフトによるA-C bypass術は症例を選択して行うことにより, 有用な手技と思われた. Annuloaortic ectasia(AAE)に対して, composite graftを用いて上行大動脈と大動脈弁をenblockに置換, 修復する方法は, BentallとDeBono1)により発表されて以来, 現在ではAAEに対する標準術式として多くの施設にて施行され, 良好な成績を収めている. |