Abstract : |
5歳7カ月の男児, 漏斗胸に対する胸骨翻転術後6日目に下行大動脈破裂により, 死亡した. 外表奇形からは, Marfan症候群もしくはMarfanoid hypermobility症候群などの, 先天性結合織疾患を合併していたと考えられた. 漏斗胸術前の精査では, 大動脈基部直径46mmのaortic ectasiaが認められた. 剖検時, 左鎖骨下動脈分岐部より3.2cm遠位の下行大動脈から, 5cmの縦走する破裂部が認められた. 組織学的には, 胸腹部大動脈壁の嚢状中膜壊死像が得られた. Marfan症候群や, Ehlers-Danlos症候群などの先天性結合織疾患に, 胸郭の異常や心臓大血管の異常を合併することはよく知られている. われわれは最近, 漏斗胸の術後に先天性結合織疾患に合併したと考えられる小児の胸部大動脈破裂を経験したので, 報告する. 症例 症例:5歳7カ月, 男児 主訴:前胸部陥凹 家族歴:遺伝性疾患を含め, 異常なし 現病歴:出生時体重3576g, 正常分娩 外表奇形として, 舟状頭蓋, 両眼隔離, 高口蓋, 手指は細長く橈側偏位しており, 内反足と漏斗胸が認められた. |