アブストラクト(37巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : DeBakey I型大動脈解離に対するリング付人工血管手術後の病理所見
Subtitle : 症例
Authors : 金渕一雄, 小出司郎策, 川田志明, 正津晃
Authors(kana) :
Organization : 東海大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 37
Number : 9
Page : 2020-2024
Year/Month : 1989 / 9
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 急性大動脈解離に対するリング付人工血管挿入手術は, リング結紮部の遠隔時所見についていまだ報告が少なく, 不安がある. DeBakey I型大動脈解離の発症当日, 本手術を行い, 術後は順調であったが, 8カ月後手術とは無関係の原因で急死した症例を剖検し得たので, 報告する. リングを固定したテープ結紮部の中膜弾性線維は, 1.最外側のみ断裂がみられ, 2.中膜外側1/2は圧迫による弾性線維の濃染はあるが, 壊死はなく, 3.内側1/2は本来の組織が保たれていた. また人工血管挿入部の内膜亀裂, 解離腔は, 膠原線維の増生により閉鎖していた. この所見よりリング結紮部の大動脈壁脆弱, リングの移動, 血栓などの心配は遠隔期でもないと考えた. 急性期大動脈解離における救命手術術式の1つとして, 1978年以来1)2), テフロンリング付人工血管の真腔内挿入手術が行われている. しかしリング結紮部の大動脈壁の変化については, 動物実験3)4)と数例の剖検例5)6)の報告をみるのみで, 順調に経過した症例の遠隔期の病理所見については, いまだ報告が少ない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : リング付人工血管, 大動脈解離
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