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右胸心, 心室中隔欠損症に三尖弁両室挿入症を合併した1症例に対し根治術を施行した. 三尖弁両室挿入症では, 三尖弁のoverridingとinlet septumの偏位が見られることが多く, overridingとstraddlingの程度によって術式の選択が難しい. 心室中隔欠損の閉鎖や三尖弁置換術が必要な場合は刺激伝導系の走行異常がみられるためにその処置に注意を要する. 本症例では三尖弁を切除し心室中隔欠損部のパッチ閉鎖術及び三尖弁置換術が選択された. この際, 刺激伝導系はconcordantなstraddling T valveの鏡像と考え対処し, VSDのパッチ閉鎖術においては, VSDの下縁から多少距離をおいて縫合し, TVRでは, cruxの位置を避けることにより刺激伝導系の損傷を防ぐように心がけた. 術後は房室ブロックや脚ブロック等の症状もなく順調に経過している. 房室弁の両室挿入症（straddling AV valve）は, 心室中隔欠損症（VSD）に合併する比較的にまれな疾患であるが, 心室中隔の閉鎖その他の心内修復にあたり, 手術操作上問題となることが多い. |
