アブストラクト(38巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Completion pneumonectomy症例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 大泉弘幸, 成毛韶夫, 渡辺英世, 佐野哲郎, 近藤晴彦, 呉屋朝幸, 土屋了介, 末舛恵一
Authors(kana) :
Organization : 国立がんセンター病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 1
Page : 72-77
Year/Month : 1990 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1962年7月から1988年10月までに, 当科で経験したCompletion Pneumonectomy症例29例につき検討した. 初回手術の適応疾患は原発性肺癌27例, 転移性肺腫瘍1例, 縦隔腫瘍の肺浸潤1例であり, Completion Pneumonectomyの行われた疾患は再発肺癌21例, 初回手術後合併疾患7例(気管支形成術後吻合部狭窄3例, 気管支瘻2例, 肺梗塞及び再発腫瘍よりの出血, 各1例), 2回目術中合併症(肺動脈損傷)1例であった. 広範な肺及び肺門の癒着剥離で, 手術操作は困難であり, 出血量は61~15,000mlに及んだ. 術中肺動脈損傷を6例に認め, 特に初回手術が左上葉の症例が3例と, 多くを占めていた. 肺門の高度の癒着のため, 葉気管支以下の末梢での気管支切離閉鎖が行われた9例中, 4例に術後気管支瘻が発生した. 手術死亡は4例(13.8%)で, 初回手術後の残存葉の肺炎を伴う気管支瘻に対して行われた2例中2例(100%), 及び再発肺癌に対して行われた21例中2例(9.5%)であった. 再発肺癌の, Completion Pneumonectomy後の5年生存率は32.9%と, 肺癌切除例全体の成績に比べてもそんしょくのない成績であり, 積極的な治療の価値が認められた. 今回の検討よりみた本術式の適応は, 1.臨床診断上完全切除可能な再発肺癌, 2.気管支形成術後などの気管支狭窄で, 末梢肺に器質的変化を伴うものにあるといえる. 初回手術後の気管支瘻に対する本術式の選択には慎重であるべきと考える.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Completion Pneumonectomy, 残肺摘除, 気管支瘻, 吻合部狭窄, 再発肺癌
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