アブストラクト(38巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 弁膜症術前・術後における運動能力の評価-嫌気性代謝閾値と最大酸素摂取量-
Subtitle : 原著
Authors : 川内基裕, 松永仁, 宮入剛, 守月理, 古瀬彰
Authors(kana) :
Organization : 東京大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 1
Page : 106-110
Year/Month : 1990 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 東京大学胸部外科に入院し外科治療を受けた大動脈弁膜症2例, 僧帽弁膜症10例, 連合弁膜症2例計14例(男女比8:6, 年齢13~63歳, 平均50.1歳)を対象とした. これらの症例に対し術前後に自転車エルゴメーターによる運動負荷試験を実施, 酸素摂取量を測定し嫌気性代謝閾値並びに症候限界性最大値を決定した. 負荷の増加に伴い通常は心拍数も増加したが, 術前も術後にも運動負荷による心拍数の増加が認められなかった僧帽弁閉鎖不全症例は術後に自覚症状の改善がなく, 運動能力も著明な低下を認めた. 残りの13例における術前後の酸素摂取量は, 嫌気性代謝閾値においては0.92±0.14l/minから1.09±0.22l/minへ, 最大値においては1.11±0.27l/minから1.47±0.36l/minへと共に有意に増加した. Posnerらの方法による予測正常値に対する達成率も嫌気性代謝閾値においては95.3±14.9%から112.0±18.7%へ, 最大値においても62.2±17.0%から80.6±13.8%へと, 共に有意に増加した. 嫌気性代謝閾値並びに最大値における心拍数は術前と術後の間に差は認められなかったが, 1心拍あたりの酸素摂取量であるO2pulseは, 嫌気性代謝閾値, 最大値の双方において有意(p<0.01, p<0.01)に増加した. われわれの方法による嫌気性代謝閾値並びに最大値における酸素摂取量の測定は安全で且つ, 弁膜症症例の運動能力の指標として外科治療効果の判定に有用と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 嫌気性代謝閾値, 酸素摂取量, 運動負荷試験, 心臓弁膜症, 外科治療
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