アブストラクト(38巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 左肺底区動脈起始異常の1例
Subtitle : 症例
Authors : 加藤真司, 永田昌久, 塩井健介, 三枝裕幸, 朴一彦, 土岡弘通
Authors(kana) :
Organization : 愛知医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 1
Page : 154-159
Year/Month : 1990 / 1
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 患者は13歳, 男子で, 学校の定期検診にて連続性心雑音を指摘され, 精査のため入院した. 自覚症状は無く, 心雑音を除く理学所見も異常を認めなかった. 胸部大動脈造影では, 胸部下行大動脈から左肺底区へ流入する径約8mmの異常血管が造影され, 下肺静脈に還流していた. 肺動脈造影では左後肺底区領域の肺動脈が欠損していたが, 気管支造影では気管支の走行は正常であった. 以上より, 肺底区動脈起始異常と診断し, 左肺下葉切除術を施行した. 切除標本では異常血管は肺底区に還流し, 肺静脈と共に著明な拡張がみられ, 異常血管はelastic typeであった. 肺実質及び気管支は正常であった. 本症は, 肺分画症とは区別される, 極めてまれな先天異常と考えられた. 胸部下行大動脈から左肺底区へ直接流入する肺底区動脈起始異常と考えられる1例を経験した. 本症は, 肺分画症との鑑別が必ずしも確定していないが, 肺動脈以外に異常を認めず, 気管支及び肺実質も正常であり, 肺分画症とは区別されるべきまれな先天異常と考えられたので, 外科的治療法を含め, 文献的考察を加えて報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺底区動脈起始異常, 肺分画症, 異常動脈
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