アブストラクト(38巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Jatene術後左室機能の検討-手術時月齢の及ぼす影響について-
Subtitle : 原著
Authors : 米永國宏, 安井久喬, 角秀秋, 安藤廣美, 中村祐一郎, 總崎直樹*, 石川司朗*, 溝口康弘*, 砂川博史*, 岩尾初雄**
Authors(kana) :
Organization : 福岡市立こども病院心臓血管外科, *福岡市立こども病院循環器内科, **福岡市立こども病院新生児科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 2
Page : 227-233
Year/Month : 1990 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 術後1年以上を経過した完全大血管転位症に対するJatene手術症例39例について, 術後左室機能の推移とそれに及ぼす手術時月齢の影響を検討した. 症例の手術時月齢及び病型による内訳は, 3カ月未満のI型(IA群)7例, 3カ月以上I型(IB群)19例, 3カ月未満II型(IIA群)8例, 3カ月以上II型(IIB群)5例であった. IB群中14例は左室training後の二期的手術例であった. 術後2カ月時における左室拡張末期容積(LVEDV)変化を検討すると, 3カ月未満例のIA群では術前215±68%normalから術後120±14%normal(p<0.05)へ, IIA群は220±64%normalから130±33%normal(p<0.05)へと両群とも有意な左室容積の縮小化を認めた. これに対し, 3カ月以上のIB群では術前159±40%normalから術後183±23%normalへと有意(p<0.05)に増加し, IIB群は208±96%normalから193±23%normalへと術後も高値を示した. 術後の肺動脈楔入圧には4群間に有意の差は認めなかった. 心エコー検査により術後1年時までの左室拡張末期径(LVDd)の推移を検討すると, 術後LVDdの正常化はIA, IIA群で最も速く, 次いでIIB群であり, IB群で最も正常化が遅れた. IB群における術後LVDdは左室training開始時期(肺動脈絞扼術時月齢)と有意の正の相関があり, 術後1年を経てもその影響を認めた. また, shortening fractionにおいてもIB群は他群に比し低値で経過した. 以上の結果より, Jatene術後の左室機能は3カ月未満乳児早期症例においては速やかに正常化しうるが, それ以降の症例特にI型二期的手術例においては遅れる傾向にあり, その傾向は肺動脈絞扼術時月齢の遅いもの程著明であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Jatene手術, 左室機能, 左室拡張末期容積, 左室拡張末期径
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