アブストラクト(38巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部大動脈瘤に対するThromboexclusion法の評価
Subtitle : 原著
Authors : 蔵田英志, 近藤治郎*, 相馬民太郎*, 安達隆二*, 井元清隆*, 梶原博一*, 真下好勝*, 星野和実*, 戸部道雄*, 松本昭彦*
Authors(kana) :
Organization : 横浜市立市民病院外科, *横浜市立大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 2
Page : 234-239
Year/Month : 1990 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 昭和56年より主にIII型の解離性大動脈瘤及び一部の真性下行大動脈瘤に対してThromboexclusion法(T法)の術式を採用してきたが今回, 手術侵襲の程度を比較検討し, 更に遠隔期における諸問題についても検討を加えた. まず手術時の侵襲につき同時期に一時バイパスを用いて行った胸部大動脈瘤手術(非T法)と比較することにより評価した. 有意の差は認められなかったが, T法は術中出血量がやや少なく, 術中血圧変動も少ない傾向にあった. また, 対麻痺の発生も認めなかった. しかし, T法は術後, より長期の人工呼吸を要する傾向があり, 心筋障害も多い傾向があった. 次にT法を行った患者10例につき, CTにて瘤内血栓形成状況を調べた. 解離性大動脈瘤7例中4例, 真性瘤3例中3例, 計10例中7例, 70%に良好な瘤内血栓形成が認められた. 更にパーマネントクランプ部位よりleakageのない例のみに限ると100%血栓形成が認められた. 術後遠隔期においてflow reversalとなっていても腎機能に悪影響を与えず, 上下肢の血圧差も認めなかった. T法による血行動態変化のため, 心虚血症状を呈するものはなかったが, 心肥大の増強が認められ, パーマネントクランプの大動脈壁挫滅の問題と共に, より長期の観察が必要と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部大動脈瘤, Thromboexclusion法, 術後遠隔成績
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