アブストラクト(38巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁閉鎖不全症に対する再建術50例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 織田禎二*, 宮本忠臣, 白石義定, 朴昌禧, 新蔵信彦, 伴敏彦*, 平田和男*, 武内俊史*, 坂田隆造**, 樋口訓久**
Authors(kana) :
Organization : 小倉記念病院心臓血管外科, *京都大学医学部心臓血管外科, **熊本中央病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 2
Page : 256-262
Year/Month : 1990 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去5年間に成人の僧帽弁閉鎖不全症(MR)92例のうち50例(54%)で僧帽弁再建術を行った. この50例の年齢は20~73(50.0±11.6)歳, 男26例女24例であった. MR単独は25例で残りは他弁疾患心房中隔欠損症あるいは虚血性心疾患合併例であった. 僧帽弁再建術式として, 1.後尖逸脱26例には主にquadrangular resectionを, 2.前尖逸脱11例には腱索短期術かtrianglular resectionを, 3.弁輪拡大13例にはKay法かcarpentier ringによる弁輪縫縮術を施行した. 再建術後のMR残存の有無の確認法として最近は心拍動下で逆流テストを行い良好な結果を得ている. これらの方法で後尖逸脱例は79%の再建成功率だったが前尖逸脱例の成功率はわずかに37%にすぎず今後に課題を残した. 術後1カ月の時点でMRは生存49例中37例(76%)で完全に消失した. 50例中手 術死1例, 病院死1例(いずれも非心臓死)を除く48例のうち43例で最長5.2年, 平均1.9年の追跡が可能であった. この間, 遠隔死2例(脳梗塞1例, 詳細不明1例)をみた. 溶血は再手術となった2例の他に軽度で一過性のものを4例に認めた. 心不全2例, 前述の高度溶血2例には再手術を余儀なくされ, すべて術後4カ月以内に弁置換を施行した. この4例のうち1例はresidual MRであったが, 1例は手術手技に, 1例は適応に問題があって, 術後早期に再建が破綻したものであった. 溶血や再手術はすべて術後早期に限られ遠隔期にMRの増強や再発を認めた例はなかった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 腱索断裂, 僧帽弁逸脱症候群, 弁再建(形成)術, 溶血, 僧帽弁閉鎖不全症
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