アブストラクト(38巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 興味深い脊髄病理所見を示した胸部大動脈瘤術後対麻痺の1例
Subtitle : 症例
Authors : 水野俊一, 細川秀一, 田中稔, 阿部稔雄, 若林隆*, 橋詰良夫**
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科, *名古屋大学医学部第3解剖, **名古屋大学医学部第1病理
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 2
Page : 313-317
Year/Month : 1990 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸部大動脈瘤術後に対麻痺を経験し, 大動脈と脊髄の詳細な病理学的観察を行った. 手術では大動脈弓から横隔膜直下までの大動脈を人工血管で置換したが, 脊髄の虚血性病変は第6胸髄(T6)からT10に及び, 横断面では前脊髄動脈から分岐する中心動脈の灌流域の末梢の部分と思われた. 前根動脈は, 第6頸髄(C6), C7, C8, T4, T12の髄節に流入しており, T12のものがAdamkiewicz動脈であった. Adamkiewicz動脈とT4の前根動脈は共に大動脈遮断の範囲に入っていたが, 前者の灌流域には病変はなく, 脊髄の虚血はT4の前根動脈の灌流域の末梢に起こったと考えられた. 大動脈手術時の脊髄保護を考える場合, Adamkiewicz動脈の局在についてのみ注意しがちであるが胸髄中部にも重要な根動脈を持つ症例があり, この場合はAdamkiewicz動脈の血流が保たれていても脊髄虚血が起こる可能性があると思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部大動脈瘤, 脊髄虚血, 対麻痺
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