アブストラクト(38巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 二次性三尖弁閉鎖不全に対する診断と外科治療-Kay法とC-E ring法の比較検討-
Subtitle : 原著
Authors : 矢田公1), 谷一浩1), 下野高嗣1), 鹿野和久1), 新保秀人1), 竹内義広1), 岡部学2), 水谷哲夫1), 湯浅浩1), 草川實1)
Authors(kana) :
Organization : 1)三重大学医学部胸部外科, 2)県西部浜松医療センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 3
Page : 421-428
Year/Month : 1990 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 後天性弁膜症に伴う二次性三尖弁閉鎖不全(TR)の診断と外科治療を行った症例のうちKay法とCarpentier(C-E)法の逆流制御効果について検討した. 対象は1980年からTRに対して手術を行った52例で, 手術効果の比較はKay法が30例, C-E法が16例であった. TRの診断は超音波パルスドプラー心エコー法で行い, 従来の逆流度分類に加えて逆流シグナルの到達方向から心房中隔方向をa型, 右房中央部をb型, 右房外側方向をc型とし, それぞれ一方向の逆流を限局型, 二方向以上を広範囲型とした. TRの逆流度とその様式をみると3度では限局型が17例中12例(70.6%)に対し広範囲型が5例(29.4%)と限局型が多く見られるのに対し, 4度では広範囲型が15例中11例(73.3%)と多くみられた. また3度の広範囲型の5例中2例には三尖弁の器質的変化を認めた. 術式から見た逆流制御能では, Kay法では限局型11例に対しては全例2度以下の逆流に制御できたが, 広範囲型の5例中4例は3度以上の中心部逆流を残した. 一方C-E法では広範囲型及び限局型ともに良好な逆流制御が認められた. 術前後の三尖弁輪径の変化はKay法が26.1±3.1mm/m2→17.4±1.9mm/m2, C-E法が26.7±2.4mm/m2→17.3±1.8mm/m2で弁輪径では有意差を認めないのに, Pressure Half TimeではKay法151±43msec, C-E法108±23msecと有意にKay法が高値で弁口の狭少化が示唆された. 以上の結果よりKay法では広範囲型TRに対する逆流制御には限界があり, その術式の選択には超音波パルスドプラー心エコー法による逆流様式の検討が有用であることを認めた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 二次性三尖弁閉鎖不全, 超音波パルスドプラー心エコー法, 三尖弁輪形成術, Kay法, Carpentier ring法
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