アブストラクト(38巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 体外循環中の溶血と赤血球変形能及びProstaglandin E1の溶血防止効果について
Subtitle : 原著
Authors : 山口寛, 清水剛, 阿久津博美, 河内賢二, 長田一仁, 藤川正, 末定弘行, 平山哲三, 石丸新, 古川欽一
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 4
Page : 625-629
Year/Month : 1990 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術は体外循環下に安全に行われるようになったが, 重大な合併症である腎不全と深い因果関係にある溶血現象は, 今なおCPBにおいて解決されるべき重要な課題である. CPBによる開心術中, 血漿Hbと赤血球変形能を同時に測定し得た65検体では赤血球変形能の障害の強い群では血漿Hbも高値を示すことが明らかとなり, 溶血と赤血球変形能の良否とには密接な関連のあることが判明した. また, Prostaglandin E1(PGE1)のCPB中の溶血防止効果を検討するため, PGE1を投与した群と非投与群とでCPB中の血漿Hbを測定し, 比較検討した. PGE1非投与群(n=8)の血漿HbはCPB前20.6mg/dl(SD=12.2)であったが, 経過中, 経時的に増加し, 30分値:37.8mg/dl, 60分値:52.4mg/dl, 90分値:52. 3mg/dl, 120分値:61.2mg/dlであり, 60分以降はCPB前値との間に有意差が得られた. 一方, PGE1をCPB開始時より10~20ng/kg/minでCPB終了時まで人工心肺中に投与したPGE1投与群(n=12)の血漿HbはCPB前:26.2mg/dlであったが, 30分値:34.3mg/dl, 60分値:31.7mg/dl, 90分値:32.8mg/dl, 120分値:35.8mg/dlといずれの値もCPB前値との間に有意差は認められなかった. このことより, PGE1がCPB中の赤血球を保護し, 溶血防止に効果のあることが判明したが, この効果は, PGE1がCPB中の赤血球変形能を良好に保つことによることが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環, 溶血, 血漿ヘモグロビン, 赤血球変形能, Prostaglandin E1
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