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Ca拮抗剤(nicardipine)を高K+心筋保護液へ添加しその有効性を, ラット摘出灌流心を用いて検討した. 実験Iは30℃, 2時間の心筋虚血で30分ごとに5分間のmultidose cardioplegiaを行いその後60分間の再灌流を施行した. まず心筋保護液中(PO2：601±31mmHg)のnicardipine至適濃度を検討するためにnicardipine非添加群と添加群0.5, 1.0, 2.0mg/Lの3群につき再灌流後の心機能(pressure-rate product)の回復率を調べた. 1.0mg/L添加群が最も良好な回復を示したため, 非添加群をIa群, 1.0mg/L添加群をIb群としてMVO2, 乳酸遊出量, 細胞内酸素濃度, Mtの酸化還元レベルを測定し比較検討したが両群間に有意差は見られなかった. 実験IIでは心筋保護液(PO2：215±10mmHg)の注入量を1回10mlと規定し, 引き続き25分間注入を停止するmultidose cardioplegia法を行い非添加群をIIa群, 1.0mg/L添加群をIIb群として検討した. 前述の指標で添加群が有意に良好な値を示し, nicardipineは虚血時の心筋の酸素消費を抑制し再灌流後の酸素利用能を改善することが判明した. 保護液注入時に心筋細胞内を好気的レベルに維持する実験条件では両群間で有意差は見られなかったが, 中等度低酸素状態(Mb酸素化レベル50～75%)に規定することによりnicardipine添加が心筋虚血に対して保護効果を有することを確認した. |
