アブストラクト(38巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 縦隔内転移リンパ節巣により気道狭窄を生じた甲状腺微小癌の1例
Subtitle : 症例
Authors : 内田達男, 小鹿猛郎, 近藤大造, 内田安司, 今泉宗久, 阿部稔雄
Authors(kana) :
Organization : 名古屋大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 4
Page : 698-702
Year/Month : 1990 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は59歳女性. 呼気時にヒューヒューと奇声を発するため当院を受診した. 胸部X線で気管内腫瘍が疑われ, 気管支鏡で声門から4cmの気管左側壁に広基性の隆起性病変を認めた. 生検では高分化乳頭状腺癌であった. CT所見から縦隔内甲状腺癌の気管浸潤と判断し, 気道確保のためYAGレーザーを用いたが気道狭窄が強まり準緊急手術を行った. 術中甲状腺右葉に微小癌を2個発見したため甲状腺全摘と気管管状切除を行った. 縦隔内病巣は甲状腺癌のリンパ節転移巣で一部低分化癌への転化を認めた. 術後内照射を行ったにもかかわらず9ヵ月後に局所再発したが, 外照射が有効であった. 甲状腺微小癌はリンパ節転移を高頻度に起こすが, 通常の甲状腺癌と同様に予後良好である. しかし未分化癌や乳頭状腺癌の進行例では気管に浸潤し気道狭窄症状を呈するものもある. 今回, 不顕性甲状腺癌の縦隔内リンパ節転移巣内で高分化乳頭状腺癌が低分化癌への転化を起こし, 気管へ浸潤したと思われるまれな症例を経験したので報告した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 甲状腺微小癌, 気道狭窄, 気管管状切除
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