アブストラクト(38巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開胸手術後一側反回神経麻痺に対する声帯内シリコン注入療法の意義-その臨床的及び肺機能的検討-
Subtitle : 原著
Authors : 谷口志郎
Authors(kana) :
Organization : 東邦大学医学部胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 6
Page : 960-969
Year/Month : 1990 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 食道癌, 肺癌術後及び悪性腫瘍浸潤による一側反回神経麻痺22例に対する声帯内シリコン注入療法の臨床的効果並びにその肺機能に及ぼす影響について検討した. 麻痺発生後72日以内にシリコン注入を行った15例では全例に嗄声があったが, シリコン注入により全例に改善が得られた. 更に全例に誤嚥があったが, これもシリコン注入により87%に改善がみられた. また53%に労作時息切れの改善がみられた. 一方, 麻痺発生後7ヵ月以降にシリコン注入を行った術後反回神経麻痺4例と, 手術が原因でない反回神経麻痺3例における嗄声もシリコン注入により, 100%の改善が得られた. また, シリコン注入症例全例で, 痰の喀出が容易になった. シリコン注入前後の肺機能の変化については, FIV0.5(Forced Inspiratory Volume 0.5)が平均1.22から1.10(L)と有意に低下し, 軽度の上気道狭窄の所見と考えられた. しかしこれに伴うと思われる臨床症状は出現せず, 逆に労作時息切れの改善が得られた. 咳嗽時気管内圧曲線では, 反回神経麻痺患者は, 声帯内シリコン注入により正常成人のパターンに近づき, 最大気管内圧は平均25mmHgから95mmHgに上昇していた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術後反回神経麻痺, 声帯内シリコン注入, 肺機能, 咳嗽時気管内圧曲線
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