アブストラクト(38巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Glutaraldehyde処理ブタ異種生体弁による僧帽弁置換術の遠隔成績-Hancock弁とLiotta弁の比較検討-
Subtitle : 原著
Authors : 数井暉久, 森川雅之, 中西克彦, 塚本勝, 山口保, 山田修, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 6
Page : 1023-1029
Year/Month : 1990 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Glutaraldehyde処理のブタ異種生体弁であるHancock弁及びLiotta弁による僧帽弁置換術の遠隔成績について比較検討した. 対象は手術生存のHancock群の77例, Liotta群の60例であり, 最長追跡期間はそれぞれ14年, 8年及び累積追跡期間は631患者・年, 301患者・年であった. 遠隔生存率は術後8年でHancock群80.1±4.6%, Liotta群88.1±4.2%と両群間には差はなく, 術後14年でHancock群は74.3±5.9%であった. 弁由来の合併症のlinearized rate(%患者・年)はそれぞれ血栓塞栓症1.9% vs 1.3%, 出血0% vs 0.7%, 弁周囲逆流0.3% vs 0%, 感染性心内膜炎0.3% vs 0.7%, primary tissue failure(PTF)3.3% vs 3.3%及び弁由来の全体の合併症5.9% vs 6.0%と両群間に有意差はなかった. しかしながら, PTFのactuarial event free rateは, Liotta群ではHancock群に比較して4年より術後7年にわたり有意に低率であり, Liotta弁はHancock弁に比較してより早期にPTFが発生することが判明した(術後4年100% vs 88.8±4.3%, p<0.01, 術後7年87.7±4.3% vs 73.5±8.0%, p<0.05). 以上のごとく, 異種生体弁の抗血栓性及び抗感染性に関してはほぼ満足すべき結果を得た. しかし異種生体弁の構造上の相違により差はあるが, その長期の耐久性に関しては問題を有することから, 現在では限られた症例のみに新世代の異種生体弁を用いる方針をとっている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Glutaraldehyde処理ブタ異種生体弁, Hancock弁, Liotta弁, 僧幌弁置換術, 遠隔成績
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