アブストラクト(38巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 筋弛緩剤に対する過剰反応を契機に発見された胸腺腫の1例
Subtitle : 症例
Authors : 平井隆1), 伊藤元彦2), 安倍隆二2)
Authors(kana) :
Organization : 1)京都大学胸部疾患研究所胸部外科, 2)国立療養所宇多野病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 6
Page : 1059-1062
Year/Month : 1990 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 重症筋無力症(以下MG)は, 筋弛緩剤に対する感受性が高いことが知られている. 最近われわれは, 74歳, 女性で, 筋弛緩剤に対する感受性が高いことからMGを疑い精査したところ, MG症状は認めないが, 抗AchR抗体が高値を示し, 胸部CTで胸腺腫の合併を認めた1例を経験した. 胸骨正中切開にて拡大胸腺・胸腺腫摘出術を施行した. 胸腺右葉に胸腺腫が存在し, 右肺, 横隔神経, 心膜への浸潤を認め, これらの合併切除を行った. 放射線療法の追加により胸腺腫の再発は認めない. 本例のように, 明らかなMG症状はないが, 筋弛緩剤に対して高い感受性をもち, 抗AchR抗体陽性である症例は"subclinical MG"あるいは"premyasthenic state"ともいうべき興味ある病態である. このような症例は将来的に臨床的MGに移行する可能性があり, 本例では実際に, 術後4ヵ月目に眼険下垂が出現した. 重症筋無力症(以下MG)は, 筋弛緩剤に対する感受性が高いことが知られている1).
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 筋弛緩剤, MG, subclinical MG, premyasthenic state, post-thymectomy MG
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