アブストラクト(38巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 原発性悪性胸壁腫瘍の臨床病理学的検討
Subtitle : 原著
Authors : 林賢, 成毛韶夫, 近藤晴彦, 土屋了介, 呉屋朝幸, 末舛恵一
Authors(kana) :
Organization : 国立がんセンター外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 7
Page : 1099-1105
Year/Month : 1990 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1962年から1988年の間に手術を施行した原発性悪性胸壁腫瘍の16例を臨床病理学的に検討した. 組織学的には骨原性肉腫では軟骨肉腫が多く8例を占め, 他にEwing肉腫1例であった. 軟部肉腫では線維肉腫2例, 脂肪肉腫2例, 神経原性肉腫2例, 血管肉腫1例と多彩であった. 腫瘤自覚や胸痛などの有症状者は93.8%と高率であったが, 1年以上の病悩期間を有する症例が過半数を占めた. 発育進展方向は胸壁の内向型が多く, 特に骨原性肉腫でその傾向が強かった. また腫瘍径は平均8.2cmと巨大であった. 一方胸部X線写真, 断層撮影, CTなどの画像診断や細胞診, 組織生検などの病理学的な手法を駆使しても術前の診断率は43.8%にとどまった. 手術は腫瘤から3cm以上離しての広範切除術を原則としており, 6例に横隔膜, 心臓, 肺などの合併切除を必要とした. 肋骨切除を行った13例中3例はMarlex meshを用いて胸壁再建が行われ, 10例はdirect closureが可能であった. 耐術例の5年生存率は62.2%で, 骨原性肉腫(41.7%)に比較して軟部肉腫(68.6%)が良好であった. 再発転移は7例(43.8%)と高率であったが, 局所再発5例と肺転移の1例は再切除が可能であった. 再発転移例の5年生存率(初回切除後)は46.8%と比較的良好で, 特に初回手術後2年以上を経過して再発した4症例は再切除可能で再切除後も3年以上生存と成績良好であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 原発性悪性胸壁腫瘍, 骨原性肉腫, 軟部肉腫, 広範切除術, 再発転移例の再切除術
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