アブストラクト(38巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 特定供血者の冷凍他家血貯血による開心術
Subtitle : 原著
Authors : 難波宏文, 畑隆登, 曽根良幸, 高田茂実, 今牧瑞浦, 杭ノ瀬昌彦, 谷口堯
Authors(kana) :
Organization : 心臓病センター榊原病院心臓血管外科, 岡山県赤十字血液センター
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 7
Page : 1128-1134
Year/Month : 1990 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 輸血による合併症を少なくしたいという意図より, 体重40kg以下の非チアノーゼ性先天性心疾患患者を対象に, 患者の父母もしくは近親者の中から1名の特定供血者を決め, この特定供血者の冷凍他家血貯血による開心術を行った. 対象例は24例であり, 冷凍自己血使用症例及び同種血使用症例を対照群として比較検討した. 入院時, 人工心肺初期及び終了時, 冷凍血輸注後, 術後退院時の各時点でのヘマトクリット値(以下Ht), 血清蛋白値(以下TP)を比較検討し, その推移を検討した. 冷凍他家血群では人工心肺中と冷凍血輪注後約1週間後の2つの時期に赤血球数・Ht・ヘモグロビン値(以下Hb)・TPの低下が認められるが, 臨床的に問題となる低下では無かった. 術後合併症の点でも冷凍血使用による合併症の増加は認められなかった. 冷凍他家血群では, 疑診をも含めて血清肝炎を1例も認めていない. 特定供血者の冷凍他家血貯血による開心術は, 適応症例の適切な選択を行えば, 安全に施行可能であり, 輸血による感染と感作を減少させる上で有効な方法と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冷凍血液, 開心術, 輸血後肝炎, 特定供血者, 冷凍他家血
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