アブストラクト(38巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 内胸動脈による冠動脈バイパス手術の経験-Sequential IMA及びY Graftingの検討-
Subtitle : 原著
Authors : 桝田智之, 谷本欣徳, 小林百合雄, 林研二, 阪田健介, 青木満
Authors(kana) :
Organization : 済生会下関総合病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 7
Page : 1168-1171
Year/Month : 1990 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 内胸動脈(IMA)使用による冠動脈多枝バイパス手術のうち1986年1月より1988年12月までの最近3年間の手術成績とSequential及びY graftingについて検討した. 対象は男性125例, 女性40例の計165例, 445枝で, 年齢は40歳から81歳, 平均60.4±8.0歳であり, 1人当りのバイパス本数は2.7枝であった. IMAを1枝以上使用したのは, 男性96例(全男性症例の76.8%), 女性29例(全女性症例の72.5%)の計125例で全症例の75.8%であり, 男女における使用頻度に差を認めなかった. またIMA吻合を2枝以上施行したのは25例で, その内訳は前下行枝(LAD)及び対角枝(Dg)に対し左内胸動脈(LIMA)によるSequential Graftingを施行したものは9例で, うち3例は右内胸動脈(RIMA)も併用した. LAD及びDg又は, LAD及び左回旋枝(LCX)に対し両側IMAをin situで使用したものは13例で, 3例ではRIMAを遊離グラフトとしLIMAに端側吻合, Y字型としLAD及びDgにバイパスした(Y grafting). 術後死亡は早期死亡2例(1.2%), 病院死亡1例(0.6%), 遠隔死亡2例(1.2%)であり, その他の全例で心筋虚血の改善を認めた. 術後約1ヵ月の早期開存率はIMA 153枝のうち造影を施行した86枝では99%, 大伏在静脈(SVG)289枝のうち162枝では95.7%, 右胃大網動脈(GEA)4枝のうち3枝では100%であった. Sequential及びY graftingにおいてもその半数に造影を施行しいずれも吻合部狭窄なく開存していた. 内胸動脈は本邦人においても男女を問わず使用できるグラフトであり, Sequential graftingでも良好な結果を得た. またin situでの使用が難しい症例ではY graftingも有効な方法と考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 内胸動脈, 冠動脈多枝バイパス, Sequential Grafting, Y Grafting
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