アブストラクト(38巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 遠心ポンプによる開心術後重症心不全に対する左心及び両心補助の経験
Subtitle : 原著
Authors : 松若良介1), 松田暉1), 金香充範1), 正井崇史1), 筆本由幸2), 小林享2), 今川弘2), 宮本勝彦3), 森崎弘士4), 川島康生1)
Authors(kana) :
Organization : 1)大阪大学医学部第1外科, 2)大阪府立成人病センター循環動態科, 3)大阪市立小児保健センター心臓外科, 4)豊中市立病院心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 9
Page : 1410-1415
Year/Month : 1990 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 成人開心術後重症心不全症例5例に対して, 遠心ポンプを用いて左心補助を3例, 両心補助を2例行った. 疾患は冠動脈疾患4例, 先天性大動脈弁膜症1例, 年齢は15~67歳, 男4例女1例である. 補助循環の適応理由は体外循環離脱困難4例, 術後ショック1例である. 左心補助は4例で左房上行大動脈間, 1例で左房大腿動脈間のバイパスを行い, 全例に抗血栓性の送脱血管及び回路を使用した. 右心補助は右房肺動脈間に体外循環用の送脱血管及び回路を用いてバイパスを行った. 両心補助の2例における右心補助は左心補助開始後各々4時間, 3日後に開始した. 補助時間は全体では33~240時間(平均120時間), 左心側は33~240時間(平均126時間), 右心側92, 120時間であった. 補助流量は1.2~2.5(平均1.9)L/min/m2であった. 遠心ポンプは計16個使用しポンプ1個当りの使用時間は32~87(平均51時間)で, 計9回の交換を要した. 補助循環に関連する合併症としては再開胸を要する出血が3例, ポンプ内血栓に起因すると思われる脳梗塞1例であった. 心不全発症から補助開始に8時間を要した1例は, 左心補助のみで対処したが遷延する右心不全から多臓器不全に陥り失った. 他の4例は補助施行中に臓器不全の合併はなく全例離脱可能であった. このうち1例は心不全の回復が十分でなく離脱後早期に失ったが, 残る3例(左心補助2例, 両心補助1例)は生存し退院した. 遠心ポンプは簡便に使用できる補助循環装置として有用であるが, 抗凝血薬療法, 耐久性に問題が残されており, 1週間程度までの補助に適していると考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 遠心ポンプ, 左心補助, 両心補助, 成人開心術後心不全
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