アブストラクト(38巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : Blood cardioplegia-11年間の変遷よりみた至適投与法の検討
Subtitle : 原著
Authors : 森下靖雄, 豊平均, 山下正文, 下川新二, 梅林雄介, 西元寺秀明, 橋口雅彦, 川島淳宏, 森山由紀則, 平明
Authors(kana) :
Organization : 鹿児島大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 9
Page : 1436-1441
Year/Month : 1990 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 本研究は大きく二項目よりなる. 1. 弁手術症例を, cold blood cardioplegia(CBC)の注入量で3期に分け, 臨床成績から至適注入量を検討し, 2. その結果より, 弁及び冠動脈バイパス(CABG)手術症例で, CBCへのverapamil(V)の至適添加法を検討した. a. CBC至適注入量検討のため, 弁手術症例を第I期, 5ml/kg(1978年8月~1985年9月, 368例), 第II期, 10ml/kg(1985年10月~1986年6月, 41例), 第III期, 12ml/kg(1986年7月~1988年4月, 86例)に分けた. 第III期の患者は第I, II期に比し多弁手術の占める割合が多く, 重症の傾向にあったが, cardiac-relatedの病院死亡率は, 第I, II, III期で各4.3%, 2.4%, 3.9%と各期に差はなく, noncardiac-relatedのそれは後期にかけて次第に改善傾向にあった. b. CBCへのVの添加法で1988年5月以降の開心術症例中45例を3群に分け, 心筋保護液にV 1mg/Lを添加したのをA群, 体外循環充填液にV 0.2mg/kgを添加したのをB群, B群に体外循環開始60分で0.1mg/kgを追加投与すると同時に, 0.5μg/kg/minで術後24時間持続点滴したのをC群とした. 各群共に弁置換術9例, CABG術6例の計15例で, 術前のNYHA機能分類, 心胸郭比, 左室駆出率, 年齢, 心係数に有意差はなかった. Vの濃度は, C群でのみ体外循環開始60分, 120分, 術後1日目の全経過を通じてHenryらの提唱する治療域を維持した. 今回の検討より, CBCの至適注入量は, 初回投与量として12ml/kg, 2回目以降にその半量を25~30分毎に反復する. また, Vの体外循環充填液への添加及び術後近接期にかけての使用が, 目下のところ選択すべき方法との結論を得た.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : blood cardioplegia, 手術成績, 至適投与法, Ca拮抗剤
このページの一番上へ