アブストラクト(38巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 新生児・乳児開心術後の急性腎不全に対する腹膜透析
Subtitle : 原著
Authors : 井口篤志, 羽根田潔, 伊藤孝, 貞弘光章, 伊藤康博, 秋野能久, 鈴木康之, 毛利平
Authors(kana) :
Organization : 東北大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 9
Page : 1448-1452
Year/Month : 1990 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後に腹膜透析(PD)を施行した新生児・乳児20例を対象として治療効果を検討した. 原疾患はTAPVD 7例, PAcIVS 2例, ECD 2例, Co Aを伴うVSD 2例, その他7例であった. 手術時年齢は平均2.6ヵ月, 体重は3.9kgであった. 十分な水分負荷, カテコラミン剤, 利尿剤の投与にもかかわらず1ml/kg/hour以下の乏尿が4時間以上続いた場合に全身浮腫の程度, 血清K値, 血清尿素窒素値の上昇から総合的に判断してPDを開始した. 方法は患児のダグラス窩にカテーテルを挿入して間歇的貯留法で行った. 灌流液は浸透圧の異なる2種類の腹膜灌流液を除水量に応じて混合し, KClを適宜加えて使用した. PD開始前4時間での1時間あたりの平均尿量は0.62±0.41ml/kgであった. PD開始時の血清クレアチニン値は1.7±0.6mg/dl 血清尿素窒素は30.4±11.9mg/dlであった. PD施行中のクレアチニン値の最高値は全症例とも4.5mg/dl以下であり, 血清尿素窒素値は1例を除いて100mg/dl以下であった. 血清蛋白値は是正され電解質はほぼ正常範囲内にコントロールされた. PDによる除水は良好で浸透圧を調節し, 投与量以上の水分を排泄することができ浮腫は軽減した. 治療成績は新生児を含む6例(30%)が生存した. 死亡原因は14例中9例がLOSでありその他敗血症2例, 呼吸不全2例, 及び不整脈による突然死1例であった. 心臓手術の新生児・乳児の急性腎不全に対してPDは有効な治療法であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 腹膜透析, 急性腎不全, 新生児, 乳児
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