アブストラクト(38巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気管支形成術後早期再手術例の検討
Subtitle : 原著
Authors : 綾部公懿, 辻博治, 岡忠之, 原信介, 謝家明, 田川泰, 川原克信, 富田正雄
Authors(kana) :
Organization : 長崎大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 11
Page : 2202-2207
Year/Month : 1990 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 気管支形成術後の早期合併症に対して再開胸術を施行した症例を分析し, その適応, 術式, 成績と問題点について検討した. 昭和63年12月までに施行した各種呼吸器疾患に対する気管支形成術は116例である. 対象疾患としては肺癌が最も多く102例(87.9%)を占めていた. 術後再開胸術の施行されたものは11例(9.5%)で再手術の理由は気管支吻合部縫合不全5例, 吻合部閉塞2例, 無気肺2例, 同時に施行された肺動脈分節切除吻合部の閉塞2例である. 11例の原疾患は肺癌8例, 食道癌, 結核性気管支狭窄, 外傷性気管支断裂各1例で, 再開胸術は術後2日より2ヵ月の間に行われたが, 大半は2週間以内であった. 11例に対し13回の開胸術が行われた. 施行された術式は肺全摘術6例, 再気管支形成術3例, 縫合不全部再縫合2例, 心膜欠損部補填, 肺胞瘻閉鎖各1例であった. 再気管支形成術及び肺全摘術の各1例に吻合部及び断端部の有茎大網による被覆を行った. 再手術後合併症は, 吻合部縫合不全2例, 気管支断端瘻2例, 肺炎1例であり, 2例に再々手術を行った. 大網被覆例には瘻孔形成は見られなかった. 再手術後の手術死は1例で, 肺全摘後の気管支瘻の合併によるものであった. 他の10例中6例が術後39日から1年の間に肺癌の再発, 又は肺炎により死亡したが, 4例は術後5年より12年の現在健在である. 気管支形成術後の気管支吻合部に関連した合併症のうち, 吻合部縫合不全には早期再開胸が必要であり, 再手術術式として再形成術も可能で, また有茎大網による再形成部, 断端部の被覆が有用であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 気管支形成術, 吻合部縫合不全, 吻合部狭窄, 再開胸術, 術後合併症
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