アブストラクト(38巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 大動脈弁位人工弁の血行動態的評価と至適弁サイズの推定に関する検討
Subtitle : 原著
Authors : 岩橋和彦, 中村和夫
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 11
Page : 2215-2223
Year/Month : 1990 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 機械弁による大動脈弁置換術(AVR)後のvalve-patient mismatchの問題を解明し, あわせて至適弁サイズの推定を行うべく, AVR症例68例を対象として, 使用人工弁別に生体内弁機能, 及び術後左室心筋のreductionの程度を検討した. 生体内弁機能評価として術中圧測定及び術後心エコー連続波ドップラー法による左室-大動脈圧較差(LV-Ao PG)及び有効弁口面積(EOA)を測定し, 左室心筋のreductionの判定として胸部X線上のCTR, 心電図上のSV1+RV5, 心エコーMモードによる左室心筋量(LVM), 断層法によるcross sectional area(CSA)の推移を求めた. 結果は, 各人工弁ともLV-Ao PGは心拍出量と良好に相関し, 相関直線の傾き, すなわち心拍出量の増加に対するLV-Ao PGの増加の割合は弁口面積の小さい弁ほど大であった. 連続波ドップラー法によるEOA(EOA-echo)はSJM弁19mmで平均1.4cm2, Bjork-Shiley弁21mm 1.6cm2, 23mm 1.9cm2, Medtronic Hall弁21mm 1.7cm2, 23mm 2.1cm2となり, これらは術中圧測定からの計測値とも良好に相関した. 症例を有効弁口面積係数(EOAI-echo:EOA-echo/体表面積)により小口径群:0.88cm2/m2≦EOAI-echo<1.10cm2/m2, 大口径群:1.10cm2/m2≦EOAI-echo≦1.44cm2/m2の2群に分けて検討したところ, 両群間で術後遠隔期CTR, SV1+RV5に有意差はなく, LVM, CSAのreduction rateにも有意差を認めなかった. 以上より, 人工弁圧較差は弁の種類, サイズ及び心拍出量により決定されること, また少なくともEOAI-echoが0.88以上となるよう人工弁サイズを選択すれば, 人工弁の圧較差は左室後負荷として許容しうるものと考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 大動脈弁置換法, 連続波ドップラー法, 人工弁圧較差, 有効弁口面積, 左室心筋量
このページの一番上へ