アブストラクト(38巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁置換術, 10年間の手術成績と危険因子-手術成績は向上したか-
Subtitle : 原著
Authors : 山田修, 数井暉久, 井上紀雄, 田中明彦, 伊藤敏行, 渡辺祝安, 山口保, 山本直樹, 安倍十三夫, 小松作蔵
Authors(kana) :
Organization : 札幌医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 11
Page : 2237-2243
Year/Month : 1990 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 過去10年間(1980年~1989年)の僧帽弁置換術(MVR)174例を対象に, 前期(1980~84年, n=68), 後期(1985~89年, n=106) それぞれの, 臨床像, 手術死亡率及びその危険因子を比較し, 最近の5年間で手術成績が向上したのか否か検討した. 術前血行動態は, 前期がより重症(PA=49.0mmHg, PCWP=21.7mmHg, RA=7.8mmHg, CI=2.32l/min/m2)であり, 患者構成では, 後期でより高齢化(49.8歳)し, 再手術(51.9%), 三尖弁同時手術(45.3%)が増加, 大動脈遮断時間(87.4分)が延長するなど手技的にも複雑化していたが, 弁病変, NYHA分類, 他臓器不全の合併には差がなく, 判別分析による総合的評価では前, 後期では有意の差を認めなかった. 手術死は前期7例(10.3%), 後期7例(6.6%)で, 手術死亡率に差はなく, 再手術, 再弁置換術, TAP同時手術別の比較でも, 後期の成績向上は認めなかった. しかし, 術後30日以内の早期死亡率は, 術後の循環不全や臓器不全対策の向上により前期10.3%, 後期3.8%と改善傾向(p=0.0845)を認め, 再弁置換例を除くと早期死亡率は前期10.3%, 後期1.2%と有意に向上した(p=0.0423). Multiple logistic modelによる単変量解析の結果, 手術死危険因子は, 前・後期を通じてNYHA分類, 腎不全, 又は複数合併, 体外循環時間であり, その他に前期では, 肺高血圧, 後期では, 平均右房圧, 再弁置換術, 大動脈遮断時間であったが, 多変量解析により, 特に決定的な危険因子を見いだすことは出来なかった. 以上から今後のMVRの手術成績向上には, 再弁置換術の成績向上, 長期MOF例の救命, 術中. 術後の慎重な手技操作, 管理が重要と思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁置換術, 再弁置換術, 危険因子, 体外循環時間, multiple logistic model
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