アブストラクト(38巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 低温, 拍動流併用, 心室細動下での急性心筋梗塞後心室中隔穿孔に対する手術
Subtitle : 原著
Authors : 浜田良宏, 北村惣一郎, 河内寛治, 西井勤, 谷口繁樹, 水口一三, 福富正明, 萩原洋司, 庭屋和夫
Authors(kana) :
Organization : 奈良県立医科大学第3外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 12
Page : 2390-2395
Year/Month : 1990 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術の補助手段として, 大動脈を遮断しないで心筋への血流を維持して行う心室細動法は, 心筋保護液注入のため手術を中断する必要がなく有用な方法である. しかし心室細動法は心内膜側の虚血をもたらすことから, また心筋保護法の発達により最近では一部の施設, 一部の症例を除いてほとんど行われなくなった. そこで低温拍動流を心室細動法に併用すればその欠点を補いえ, 心筋保護液注入による心停止法に劣らない心筋保護効果が得られると考え, 急性心筋梗塞後心室中隔穿孔(VSP)に応用した. 手術を行った17例のVSPのうち最近の連続する10例を低温拍動流併用心室細動法で手術し(VF群), 心室細動法を採用する以前の心筋保護液注入による心停止法にて手術を行った7例(CP群)と比較検討した. VF群は人工心肺離脱直後の心係数がCP群に比し有意に高値を示した. CP群では遺残シャントを1例, 自由壁破裂を1例に認めたが, VF群では認めなかった. VF群は術後IABP以外の循環補助を行うことなく, またVF群の手術死亡は1例, 10%と, CP群4例, 57%に比しVF群が良好な成績であった. このほか心室細動法は大動脈の石灰化あるいは癒着が高度で大動脈の遮断が困難な場合でも行える等の利点があり, 低温拍動流併用心室細動法はVSP手術における補助手段として有用な方法であると考える. また, 本報告はVSPに対する補助手段としての心室細動法の利用に関して初めてのものである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 低温, 拍動流, 心室細動法, 心室中隔穿孔, 心筋保護法
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