アブストラクト(38巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 不規則赤血球抗体を有する弁膜症に対する開心術-遷延性溶血反応を示した1例を中心に-
Subtitle : 症例
Authors : 青柳成明1), 山下正康1), 押領司篤茂1), 小須賀健一1), 大石喜六1), 中村幸泰2)
Authors(kana) :
Organization : 1)久留米大学医学部第2外科, 2)久留米大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 38
Number : 12
Page : 2416-2420
Year/Month : 1990 / 12
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 不規則赤血球抗体を有する弁膜症2例に開心術を行い, 1例に大量輸血を契機に遷延性溶血反応を生じたので報告した. 症例1は38歳, 男性で, 初回手術時, 約9000ml輸血歴を有しており, 僧帽弁再狭窄のため弁置換術を施行した. 再手術で4435mlの輸血が行われ, 術後に高度の貧血と黄疸, 血清LDHの上昇を生じた. Coombs試験(直接法, 間接法)は陽性で, 不規則抗体(抗c抗体, 抗E抗体)を検出した. 輸血を中止し, プレドニン投与を行った. これにより溶血反応は軽減し, 貧血も次第に改善した. 症例2は僧帽弁狭窄症を有する38歳, 女性で出産時1000mlの輸血を受けた. 弁置換術時, Coombs試験間接法陽性, 不規則抗体(抗C抗体)の存在を指摘された. 自家血のみを使用して手術を行い順調に経過した. 不規則抗体は輸血と妊娠により産生されるため無輸血手術に心掛けることが重要で, 再手術例では遷延性溶血反応が起こる可能性があることを念頭において管理すべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 遷延性溶血反応, 不規則赤血球抗体, 無輸血手術
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