アブストラクト(39巻1号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 僧帽弁置換術後左室後壁破裂に対する外科治療-人工弁除去による心内膜側からの修復-
Subtitle : 原著
Authors : 桜田徹, 栗林良正, 関根智之, 相田弘秋, 関啓二, 後藤由和, 柴田芳樹, 目黒昌, 熱海裕之, 阿部忠昭
Authors(kana) :
Organization : 秋田大学医学部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 1
Page : 32-37
Year/Month : 1991 / 1
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 1971年4月から1990年3月末までの19年間に行われた僧帽弁置換術272例(単独200例, 大動脈弁置換術との同時手術69例, 三尖弁置換術との同時手術3例)中, 左室破裂11例(4.0%)に遭遇した. 手術時年齢は34~65歳(55.0±9.7歳), 男3, 女8例と女性に多く, 僧帽弁狭窄症を主病変とするものが6例, 閉鎖不全が5例と拮抗していた. Cardioplegiaの導入前後の左室破裂の発生率はそれぞれ6.5%(62例中4例), 3.0%(210例中7例)であり, Cardioplegia導入によりその発生率は有意に少なくなっている. 弁切除は後尖を温存した1例を除き, 前・後尖, 後尖のbasal chordae以外の腱索, 乳頭筋の一部を切除した. 11例中8例が術中破裂, すなわち早期破裂であり, 他の3例はICU及び一般病室での遅発性破裂であった. 破裂部位は初期3例(II型と推定)以外は弁輪隣接部位の破裂(7例がI型破裂)であった. 初期には左開胸を加えての拍動下の心外膜側からの修復で救命を得たが, その後のI型破裂では体外循環下, あるいは更に心停止下に心外膜面より修復を試みたにもかかわらず, 救命例は得られなかった. このため, 最近の2例では人工弁除去や人工弁癒着糸の部分的切除により直視下の心内膜からの破裂部修復を行い, 2例とも救命し得た. 最終的に早期破裂8例中5例を救命し得たが, 遅発性破裂3例は1例も救命できなかった. これらの結果から, 早期房室間溝隣接部の左室後壁破裂では, 人工弁除去による心内膜側からの直視下修復法が有用であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 僧帽弁置換術, 術後左室破裂, 心内膜側修復, 仮性左室瘤
このページの一番上へ