| Authors ： |
高山鉄郎, 鰐渕康彦, 須磨久善, 寺田康, 斉藤力, 福田幸人, 洪幾東, 田中真人, 小林ゆかり, 古田昭一 |
| Abstract ： |
10例の成人Ebstein病症例に対し一貫として三尖弁温存のままの右房側に人工弁を挿入するTVSI術を施行し, その遠隔成績(6ヵ月～11.5年, 平均6.8年)を検討した. 手術死亡はなかったが術直後に重篤な不整脈を2例に経験し, 1例は開胸心マッサージ, 他の1例は6時間のV-Aバイパスが必要であった. 1例を合併して行った僧房弁置換術後9年目に僧房弁位人工弁機能不全症により失ったのみで, 9例は遠隔期全例NYHA 1度と良好な心機能を示した. CTRは術前より遠隔期までに有意な変化は認めなかったが, 超音波断層像によるLVDd及びDsは術前各29±4.5mm, 19±4.1mm, 遠隔期42±3.1mm, 29.±5.2mmと有意な増加を示し(p<0.01), EFは術前の高値より遠隔期に正常化する傾向を示した. 遠隔期不整脈は高頻度に認められ, 8例で抗不整脈剤が継続投与されていた. TVSI術は容易且つ安全に行い得, 術後のA-Vブロックの発生がなくatrial kickが保たれる点, 右心室内構造が温存されるため右心室の収縮力を損わない点が術直後のLOSを乗り切るには有利な術式であり, また現在まで最長11.5年の追跡期間中に血栓弁や人工弁機能不全による再弁置換を考慮した症例もなく良好な遠隔成績であると考えられた. |
